7月4日(水)の2校時に4年1組の教室で音楽の校長参観授業を行いました。歌唱指導で「とんび」でした。
担任の石渡先生は、子どもたちに「『とんび』の歌の1段目~4段目の中で、歌い方を考えるのはどこかな?」と質問すると、子どもたちは「まだ、歌い方の工夫を考えていないのは3段目だから3段目を考えたい」と答えました。さらに、先生が「3段目の歌い方は、どんな工夫をするといいのかな?」と質問すると、子どもたちは「2羽が呼びかけ合っているように歌うと良い」と答え、「音楽では『呼びかけあう』ってどう言ったらいいの?」と重ねて質問すると「問いと答え」と答えました。こうした子どもたちの発言をもとに、本時の学習課題である「2羽のとんびが空を飛んでいる様子を思い浮かべて、3段目の歌い方を工夫しよう」とまとめました。3段目というのは「ピンヨロ~、ピンヨロ~、ピンヨロ~、ピンヨロ~」と歌うところです。子どもたちと一緒に学習課題を生み出すことで子どもたちのやる気を引き出すとともに、このやりとりの中に本時の課題に対する「見通し」が隠されているのです。
担任の石渡先生は、最初に3段目の旋律の特徴を子どもたちに考えさせ、発表してもらいました。子どもたちから発表されたのは
・高い・低いの繰り返し
・問いと答えになっている
・リズムは一緒
でした。これが本時の学習課題に対する明確な「見通し」になっています。次に、子どもたちに「強弱の工夫」と「歌い方の工夫」を1人1人に考えるように指示し、それをワークシートに書き込ませました。こうすることにより、「歌い方の工夫」という課題をさらに「強弱と歌い方」とより明確な課題にしています。
私がとても感心したのは、「歌い方の工夫」を考える方が難易度が高いと思っていたのですが、それをワークシートに書くことを苦労している子供に先生が写真に写っているヒントカードを渡していました。先生の支援もあり、全員の子どもたちが写真に写っているように自分の考えをワークシートに書き込むことができました。
次に、班になって先程ワークシートに書き込んだ2つのことを発表してから話し合い、ホワイトボードにまとめて書き込みました。単にペアコミをしたり小集団での話し合いをするだけでなく、それを子どもたちにまとめさせることで、単なる意見交換で終わるのではなく、その意見を深めたり明確化することができます。
子どもたちが班で考えまとめた「強弱の工夫」と「歌い方の工夫」をホワイトボードを活用しながらそれぞれ発表し、その理由も説明してもらいました。それを先生と子どもたちでいくつかの歌い方のパターンにまとめました。
「これはとても良い方法だなぁ!」と思ったのが、そのいくつかのパターンを実際に子どもたちに歌わせ、子どもたちにその結果一番2羽のとんびが「問いと答え」をしている情景にあうと思われるものを選ばせました。子どもたちが選んだ歌い方は
・「ピンヨロ~」の4回の繰り返しを「強い・弱い・強い・弱い」と歌うこと
・「ピン」を強めに「ヨロ~」を少し弱めに歌うこと
・最初と3つめの強めの「ピンヨロ~」を歌うグループと2番目と4番目の「ピンヨロ~」を歌うグループに分け、問いと答の歌になるようにすること
です。これは子どもたちが根拠をもって考え出し、全員が合意の上で共通理解した4年1組独自の歌い方です。根拠をもって考え、それを主張し、合意を形成し、学級独自のものを作り出すことは素晴らしい学習であると思いました。
「気持ちの天気」と「学習感想」を書き込みました。子どもたちの「気持ちの天気」は全員が「晴れ」で、学習感想には「強弱に気をつけて工夫して歌うことができました」等と書かれていました。
最後に、今まで音楽の時間に子どもたちと考え出した「とんび」の歌い方で全員で歌い、この歌の歌唱を完成させました。私は聴いていて、「とんび」の情景が思い浮かぶ、素晴らしい歌が完成したと思いました!
子どもたちに根拠をもって情景が思い浮かぶように歌い方を考えさせ、それを学び合い高め合い、上手に支援しながら4年1組独自の歌を仕上げた石渡先生と、その指導に応え、素晴らしい歌を仕上げることができた4年1組の子どもたちに大きな拍手を送ります!!