11月2日(木)の5校時に3年2組の教室で、相澤先生の校長参観授業で新採研の算数の研究授業を行いました。担任の相澤先生は今年度の新採用教員なので新採用研修の研究授業を行わなければなりません。それを校長参観授業と兼ねて実施することになりました。
教材名は「はしたの大きさの表し方を考えよう」(第4次 第1時)で本時のねらいは「小数で表された1つの数を、いろいろな見方や表し方ができることを理解する。」です。相澤先生は、新採用教員ですが教員の経験が3年あり、元々教員としての指導力があったことに加えて、新採用指導教員の秋山先生や学年主任の石渡先生の指導のもと、この半年でさらに指導力をつけてきました。
陸上記録会の走り幅跳びの例を出し、2.8mを取り上げ、最初に本日の問題として「2.8はどんな数だといえますか」を示しました。「2.8はどんな数」って曖昧な問題だと思ったのですが、その後、すぐ「2.8のいろいろな表し方を考えて説明しよう。」という本時のめあてを示し、この時間に子ども達が取り組むことが明確になりました。
さらに、既習事項を思い出すために、数直線を掲示し、2.8が2よりも大きく3よりも少し小さい数であることを確認し、学習コーナーの「たしん算」「ひきん算」「かけん算」「位分け」の4つを振り返りました。この数直線と学習コーナーの4つの計算が本時の課題解決のための「見通し」になっています。
子ども達は、配布されたワークシートを活用しながら自力解決を行いました。ワークシートには本時の問題とめあてが示されており、その下に0~3までの0.1メモリの数直線、さらにその下に自分の考えを書けるスペースが2つあり、1枚のワークシートで2つの考えを記すことができるようになっています。
先生は、机間巡視をしながら支援の必要な子どもにはヒントカードを渡し、考える取っ掛かりを持てるようにしていました。この支援方法は、支援のための時間短縮になっており、支援の必要な子どもに対応しながら同時に全体を把握するのに良い方法であることを感じました。また、相澤先生は座席表を持ち歩き、その中に子ども達の解決方法を記入し、全体の学び合いでの意図的指名につなげるように配慮していました。
次に、ペアコミで自分の考えを友だちに説明し、また、友だちの考えを理解する時間を取りました。相澤先生はペアコミに入る前に、説明上手・聞き上手な人の特徴として、
①話している人の方を向いて聞くこと
②説明しているところを指で指しながら話すこと
を取り上げていました。実際にほとんどの子ども達が①と②を守ってペアコミをしていてとても効果を上げていました。その証拠として、説明をただ聞くだけでなく、話を聞いた後に相手の意見をまとめたり、間違いを指摘したり、気がついた自分の間違いを直したりして、確実にコミュニケーションできている子どもが多かったです!
ペアコミが終わった後の全体の学び合いですが、一例を挙げてどんな様子だったか説明します。
最初の発表で意図的指名をし、その子が大型ディスプレイのところに出てきて、ワークシートを実物投影機で映し出し、全員に向かって説明したのですが・・・
30-28=2dl 0.2 答は0.2dl
と問題の趣旨を取り違え、間違えていたのです。次に2人目の子が同様に大型ディスプレイのところに出てきて、その考えを解釈しながら、前の友だちが何を間違えたのか明らかにしました。
さらに、3人目の子が前の2人の意見を踏まえて、
2.8=3-0.2
と式につなげました。すると先生は「これは何ん算ですか?」と聞き、既習事項である「ひきん算」につなげました。4人目の子に式を言葉で説明するように求めると、「2.8は3より0.2小さい数」と言い、言葉の説明につなげました。1人の子の意見から4人の子どもの意見を通して3つのつながりを導き出した指導力はなかなかのものだと感心しました! また、大型ディスプレイは次のものを投影すると消えてしまうので、先生はそれを黒板に板書しながら進めていて、一つ一つの学習が記録として残るようにしました。
この後、「たしん算」と「かねん算」、「位分け」の方法についても上記と同様につないでいきました。
先生がまとめを板書したのですが、その際も「次は『なにん算』を使おうかな?」とか「これはなんと言えばいいのかな?」などと子ども達とコミュニケーションしながらまとめていました。これが、やがて子どもが中心のまとめをするための布石になっているなと感じました。
学習感想を書きましたが、その際も「学習コーナー」の「学習感想」のところが子ども達の記述の質を高める役に立っているなと感じました!
初任者とは思えない的確な指導で子ども達に主体的・対話的で深い学びをさせることができた相澤先生と、その指導に応え、確実に力をつけていて、素晴らしい学習をすることができた子ども達に大きな拍手を送ります!!